「吹奏楽を始めたけれど、楽譜をどう読み解けばいいかわからない…」という不安を抱える人は少なくありません。吹奏楽の楽譜には、パート譜や移調楽器など、ピアノ譜とは異なる要素が多く含まれています。特に初心者には、さまざまな記号や形式が混在していて戸惑うこともあります。
この記事では、吹奏楽の楽譜の読み方の基礎を「5つの観点」から整理し、パート譜と総譜(スコア)の違い、音部記号・拍子・調号、さらに演奏記号の意味までを丁寧に解説します。「これなら読めそう」──そんな実感を持てるよう、まずは最初の一歩を一緒に踏み出しましょう。
1. 吹奏楽の楽譜とは?:パート譜とスコアの区別
吹奏楽では、複数の楽器が同時に演奏するため、演奏者個人が見る「パート譜」と、全体をまとめた「総譜(スコア)」が使われます。
- スコア(総譜):指揮者用に全楽器のパートをまとめた楽譜
- パート譜:演奏者が自身の担当パートだけを見る楽譜
最初は自分のパート譜だけを練習することが多いですが、スコアも眺めておくことで「全体の構成」や「自分の立ち位置」が見えてきます。
2. はじめに知っておきたい楽譜の基本
楽譜を読むには、いくつかの基本的なルールを押さえておくと理解が早くなります。
音部記号(おんぶきごう)
- ト音記号(G記号):フルート、クラリネット、サックスなど
- ヘ音記号(F記号):チューバ、ユーフォニアム、バスーンなど
- ハ音記号(C記号):一部の打楽器や高度なパートで使われることも
拍子記号(はくしきごう)
楽譜の冒頭に「4/4」「3/4」などと書かれています。これは小節あたりの拍数と拍の長さを示すものです。
たとえば
- 4/4 → 1小節に4拍、1拍は4分音符
- 6/8 → 1小節に6拍、1拍は8分音符
調号(ちょうごう)
冒頭に並ぶ♯(シャープ)や♭(フラット)の符号は、「この曲がどの調で書かれているか」を示しています。
移調楽器(例:B♭クラリネットなど)では、楽譜上ではCと書かれていても、実際にはB♭の音になるなど、音の見かけと実際が異なることがあります。
3. 吹奏楽特有の演奏記号にも注目
楽譜には、演奏のニュアンスを伝える指示が多数記されています。これを理解することで、より豊かな表現が可能になります。
強弱記号
- p(ピアノ):弱く
- f(フォルテ):強く
- mf(メゾフォルテ):やや強く
- ff(フォルティッシモ):非常に強く
速度・表現記号
- Allegro(アレグロ):速め
- Andante(アンダンテ):ゆったり歩くような速さ
- rit.(リタルダンド):だんだん遅く
アーティキュレーション
- スラー:滑らかにつなぐ
- スタッカート:短く切る
- アクセント:強くアクセントをつける
4. パート譜を読むときのポイント
休み(休符)の把握
吹奏楽では、担当パートが長時間休むこともよくあります。適切にカウントを取りながら進行を把握することが肝心です。
- 小節番号に印をつけながら数える
- 指揮者の動きや他パートの旋律に耳を傾け、今どこか感覚を持つ
- 長い休符の直前に「入り」の目安となる音を覚えておく
キュー(Cue)音
パート譜のなかに、小さめの音符で他の楽器の旋律が書かれていることがあります。これがキュー音で、合奏中の入りやタイミング確認の目安になります。
- キュー音は「リズム」や「フレーズの形」で覚える
- 練習中に「この音が聞こえたら自分が入る」と身体で覚えておく
- 他のパートの音源やスコアを見て、キューの意味を確認しておく
繰り返し記号の読み取り
吹奏楽の楽譜では、曲を簡潔に記述するために繰り返し記号が多用されます。これを正確に理解しておかないと、演奏ミスにつながることがあります。
主な記号:
- D.C.(ダ・カーポ):曲頭へ戻る
- D.S.(ダル・セーニョ):セーニョ記号へ戻る
- Fine(フィーネ):その地点で終わる
- Coda(コーダ):終結部へ飛ぶ
- To Coda:コーダへジャンプする指示
楽譜を最初にざっと見て、戻る場所や終わりの位置を確認しておくと、安全です。複雑な部分には自分なりのメモを入れておくと安心でしょう。
5. 読譜力を高める練習法 & つまづき対策
読譜力を鍛えるステップ
「見る → 聴く → 演奏する」という順序で進めると、自然と譜読みの力がついてきます。近年は YouTube 等で演奏動画が豊富なので、それを活用するのも有効です。
練習の例:
- 簡単な曲(校歌や行進曲など)を選ぶ
- 音源を聴きながら楽譜を追う
- 自分のパートを演奏してみる
- 指揮動画などで合奏の流れを確認
よくある壁とその対処法
| つまずき | 対処法 |
|---|---|
| リズムがわからない | 手拍子やリズム打ちで確認する |
| 調号を見落とす | 楽譜の先頭を必ず確認する習慣をつける |
| 記号が多すぎて混乱する | よく出る記号をノートにまとめておく |
おわりに
最初は記号だらけの楽譜に圧倒されるかもしれません。しかし、少しずつ慣れていけば、楽譜は「音楽の言葉」として自然に理解できるようになります。吹奏楽は仲間と一緒に音をつくる楽しみがありますが、楽譜が読めるようになると、その楽しさがさらに深まります。焦らず、一歩ずつ学びを進めていきましょう。
